太陽の日射熱を効率良く集め、建物全体を温める工法について具体的に説明します。
二重屋根の中の空気(暖気)を集めて床下に送るのに送風機を使いますので、前の記事で書いたトロンブ壁よりは機械を使いますが、送風ファンのみです。そして蓄熱層にためた太陽の熱をゆっくり放熱させるのは同じです。
太陽熱空気集熱パッシブソーラーの仕組は、とてもシンプルで効率の良いものです。
屋根を黒い金属板葺きにして野地板との間に3cmほどの空間を作ります。
軒先から新鮮空気が入るようにしており、屋根の中の暖気は自然に棟に上りますので、その暖気を集めて床下に送ります。
天気が良い日は外気が5℃以下でも60℃の空気熱を集めます。
吹き下ろされた暖気は床下のコンクリート基礎に熱を蓄えつつ、残りの温風は室内に循環して家全体を温めます。冬の晴れた日に、靴下で吹き出し口の上に乗ると暖かいので、暖気の動きを実感できると思います。
そして夜や天気の悪い日には、温まった床下コンクリートから放熱は続くことで、住まい(建物)全体の温熱環境が快適な状態に維持されます。
稼働するのは屋根温度が上昇した時の床下に温風を送るファンだけなので、かかる電気代は月300円程度です。
もちろん特に冷え込むときはエアコンや薪ストーブ、温風ヒーターなどで追加の暖房をしてもらえれば良いのですが、燃料の消費を減らしながら暖かく暮らせますし、中にはエアコンをほとんど使わないという住み手の方もおられます。
ここで、WORKSで「平屋の家」という名前でUPしているお宅の冬の温度記録を見てください。
「平屋の家」は阿蘇市にあるため外気温は零下ですが、屋根の棟温度は60℃ほどあります。
また棟温度が上がっていない1月5日、6日は天気が悪く日照が得られなかったと言うことですが、室温の最低温度16℃で一定しています。
ここに注目してもらえば、床下の蓄熱コンクリートの放熱は1日で終わらず、3日ほど続くことがわかります。
ただ、温熱効果は南に高いビルがあるなどの周辺の日照条件にも影響されますので、そこは計画段階でしっかりシミュレーションします。